同日打ち上げとなったHⅡA36号機とFalcon9イリジウム3・Youtube再生数から見えてくる両者の決定的な違い




昨日10/10(10/9 12:37UTC)にSpaceXはイリジウム衛星を乗せてカリフォルニアからFalcon9ロケットを発射、打ち上げを成功させ1段目の回収にも成功した。一方、日本は種子島からもH2AF36が「みちびき」を乗せて打ち上げ成功(10/9 約22:00UTC)。

アメリカは夜、日本は早朝の打ち上げということでリアルタイムに見ていた人はかなり限られてきそうな打ち上げだったが、どちらもYoutubeLiveで打ち上げを生中継。双方それなりに関心を集めていたが、実数を見てみると圧倒的なSpaceXの関心の高さが一目瞭然。同日のイベントとして興味深い内容だったので、本稿にて手短に比較してみる。



SpaceXの番組は究極的にバランスが良い





10/10日本時間21:00時点での再生数は約43.6万回。コメント総数は752件。高評価は1万、低評価は128。動画の尺は1時間36分。

いつも通り、録画されたSpaceX紹介動画と顧客の衛星紹介動画を合間に挟みつつ、解説・ジョンの軽快なトークと共に進行する生放送。衛星放出前の軌道遷移中はCG背景にSpaceXおなじみsoundcloudの宇宙エレクトロニカが流れ続ける。



さらに今回、1瞬ファルコン9ダウンリンク背景が放送に乗った。直ぐにスイッチされてしまったが、これがまたカッコイい。

■コメントの傾向

・関係者へのねぎらいも多いが、より具体的なコメントが多数を占める。特に司会のおっっちゃんジョンへの具体的な賛辞が目立つ。
・技術的なコメントも多く、疑問点にはリプライという形でお互いに会話する様子がかなり多い。
e.g.)軌道遷移に関する質問
>Art Mullis
20 時間前
What happens to the second stage after all the Iridium satellites are deployed? Does it get deorbited or is it abandoned?
>RiPPAN
3 時間前
for LEO missions (like this) they get deorbited a few days later and the stage burn up. For GTO missions they park the stage in orbit and let the gravity do the work, it will also burn up, but it will take months/years.


・なぜ第二段エンジンばっか写しているのか、つまらん。という不満の声もあるが、これもコメントによって「ダウンリンクの帯域が技術用にしか確保できないので、しょうがない」や「暗い宇宙みてもしょうが無い」とう声も
・はたまた、映像に写った謎の現象についての議論も活発。
>samboo25
21 時間前
How do you explain the blue flashes at the bottom left at 1:15:07 and top left and at 1:15:17 top left? Thunderstorm?






今年に入って48時間以内にロケットを連射するという新たなステージに突入したSpaceX。メディア部隊もそれに伴い死ぬほど大変だとは思うが、そのクオリティに一切の劣化は観られない。流石に番組フレームワークのマンネリ化は古参視聴者としては感じるかも知れないが、それでも毎度毎度打ち上げカウンタちょい前に「今回のお届け物」コーナー、と言わんばかりの衛星紹介VTRが5分程流れる。これが毎回死ぬほど簡潔かつ分かりやすい上、とても革新的な衛星に見えてしまうほど上手く構成された動画で見ていてテンションが上がる。正直打ち上げそのものよりもこのコーナーを見る価値は、極めて高いと考える。




完全に迷走気味なJAXAいや三菱重工?の生放送。たぶんダメっぽい



同じく10/10日本時間21:00時点での再生数は9.6万回。コメント総数は23。高評価は1053。低評価は25。動画の尺は57分。


前回のみちびきでは全国小学生の生カウントダウンコールを5秒おきに挿入するという前代未聞の番組内容だったJAXAの打ち上げ生放送。しかし今回はそういった仕掛けは一切なく、完全に迷走していることが手に取るように分かる。ただひたすらJAXAのカバレッジを垂れ流し、最低限のアナウンスをラインから抜くだけの手抜き放送。さらに今回
、どこの誰が番組制作したのか不明だが、異常に音が低品質で後半に至っては常時ノイズ入りまくりという明らかにミキサーが手を抜いているとしか思えない、2000年代前半を思わせる放送内容だった。もっというと絵そのものもホワイトバランスが取れてない汚い絵で、後半の曇り空では三菱重工のウォーターマークがほぼ消滅していた。そもそもこの放送は何故三菱重工では行わないのか。
あとCGテレメトリでWindowsのメニューバー垂れ流し、これいい加減是正するべきでは。本当にここ数年で最も低品質な生放送だった。



JAXAはNHKとでも協力して金井さん食レポ動画をひたすら量産することに注力して欲しい。金井さんは唯一テレビでウケる事が可能な人材であるのは間違いない。

■コメントの傾向

・関係者へのねぎらいが多い中、北朝鮮や神戸製鋼についてのコメントもチラホラ。全体的に1行程度の感想が多く、コメ欄での議論はゼロ。



■比較 

JAXA          SpaceX
再生数       9.6万回         約43.6万回
コメント総数      23            752
高評価は       1053            1万
低評価は        25            128 
動画尺        57分          1時間36分



という結果になった。比べるのは酷、という議論はさておき、再生数が4倍程度なのに対しコメント総数では30倍以上の差がある。これはかなり特筆すべき点で、恐らく動画の視聴時間もそれに比例してSpaceXの方が長い事が予想される。事は単純で、SpX番組のほうがより面白いのだ。情報量も映像の美しさも上で、語らずにはいられないロマンに満ちているのである。そうでなくとも、真剣に見ている人が多いので疑問も直ぐにでるし、そして詳しい人間がココぞとばかりにそれに回答するという良い雰囲気が醸成されている。
実際にコメントを見てみれば、空気の違いは一目瞭然である。

JAXAはそろそろ本格的にYTLの運用を考えたほうが良いのではないだろうか。
公園や「湯」にお天気お姉さん的なキャラを配置し、日本的人情番組化するのがよいのでは無いかと筆者は考える。




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