【火星開発】SpaceXの有人火星探査ミション徹底解剖:イーロン・マスクのプレゼン抄訳その1




米・SpaceX社のCEO イーロン・マスク氏は2016年9月27日にメキシコのグアダラハラで開かれた国際宇宙航行連盟(IAF)の国際宇宙会議にて、SpaceXの次の大きな目標となる『惑星間輸送システム』の概要についてプレゼンテーションした。

ざっくり言うと、10年以内に人類を火星に送り込み、将来的には2000万円で火星旅行を可能にするのが目標。

SpaceXがかなり昔から火星をテラフォーミングしたがっていたのは周知の事実だが、ここにきて2000万円で火星旅行ができるという正直突然過ぎて意味不明なプライスをアナウンスしたイーロン・マスク。一体その根拠は何なのか。


まずはコチラを御覧いただきたい。  

言葉で説明するよりも、「まずは見てくれ!」と言わんばかりのどう考えても90年代SF映画のCGパートにしか見えない迫力。 しかも企業のイメージ映像なのにアスペクト比がシネマスコープという徹底ぶり。


だがしかし!!


これがイーロン・マスク率いるSpaceX社が大真面目に考えている今後10年程の未来予想図なのだ。東京オリンピックの予想CGや自衛隊のF3戦闘機の想像図を見ているようなものである。

この動画のタイトルは

Making Humans a Multiplanetary Species

つまり「人類を惑星間種族にする」である。

説明文には以下のようにある
 SpaceX Founder, CEO, and Lead Designer Elon Musk will discuss the long-term technical challenges that need to be solved to support the creation of a permanent, self-sustaining human presence on Mars. The technical presentation will focus on potential architectures for sustaining humans on the Red Planet that industry, government and the scientific community can collaborate on in the years ahead.(イーロン・マスクが、恒久的かつ自律的な人類の火星滞在を実現するために解決が必要不可欠な長期的な技術課題について解説。テクニカルプレゼンテーションは火星における産業、政府、科学者のコラボレーションによって自足可能な人類の将来的な設計図に焦点をあてる。)



 そしてコチラがイーロン・マスクによる実際のプレゼンテーション。かなり長いが、一見の価値は十分にある。

 

※訳は雰囲気的な超意訳であり、事実と異なる場合もあるかも知れないのでご了承下さい。

Hi, what's up?で始まるプレゼンテーション。

行きたいと思えば誰でも火星に行ける。それが本当に重要なんだ。

今後、人類には2つの選択肢があると思う。一つは地球に定住し続け、そのうち何らかの出来事が起きて絶滅する。もう一方は、宇宙に進出して多惑星間種族になることで、みんなこっちが正しい方向だと思うけどどうよ?イエス?(聴衆:イエアアアア!!!!)

ではどうやって皆を火星につれていくか。
自足的な街を作ってこそ、真に多惑星間種族と成ることができる。

 (3:30あたり)



なぜ火星なのか。選択肢は限られてる。金星は高圧過ぎるし厳しい。水星も太陽に近すぎる。で、選択肢は火星か月になる。



月は小さすぎるし大気もなく、火星ほど資源もなさそう。1日も28日と火星に比べ長いだ。火星には液体の海もある。ちょっと寒いけど、太陽光もある。窒素もあるから植物も育てられる。 重力も弱いので重量物も運べる。




現状の問題をベン・ダイアグラム(ベン図)にしてみた。人々の火星に行きたいという意思と、行けるという円に接点は無い。現状、高額過ぎて火星には行けないからだ。
従来の方法では 楽観的に見積もっても1人$10.000.000.000だ。我々は12人送ろうとしているから、そのコストはとんでもないことになる。



それはもちょっと厳しい。もしコストが一般的なアメリカの家と同じくらいの値段、つまり$200.000(2000万円)くらいだったらどうだろう。たぶん行く人は十分いるだろう。 火星では長いこと労働不足になるだろうから、仕事に困ることは無い。 


 (9:30)



だから、この辺がミソな訳だ。どうやってコストを下げるか。これが難しい。ほぼ実現不可能のように聞こるが、やる価値はあると思う。(注:イーロン・マスクは失敗する可能性が高くてもやる価値があればやるべきだと常々主張している)これらがコストカットの鍵となってくる。



 もし1回の旅のためにジェット機を使うと、$500,000必要になるけど、今ラスベガスからロサンゼルスまでのチケットは$43で買える(笑)。テキサスも。
そこに凄い進歩が見られる。



でも宇宙船はそこまで頻繁に使えない。地球と火星のランデブーは26ヶ月おきだからだ。 軌道での燃料補給が特に重要なポイントとなる。 再補給しないと、コストが500%増える。

(続く)


 image credit: SpaceX
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